ユニークな研究内容を紹介:脊椎動物について
こんにちは。今年四月に着任しました八神です。
視能訓練士科のブログアップを担当しています。
さて、今回は私の出番です。一つユニークな研究内容を紹介したいと思います。
私どもの研究グループが開発したヒトの肝細胞核内レセプター(hepatocyte nuclear factor4α:HNF4α)分子に対する免疫染色用抗体を用いて脊椎動物のHNF4αを検出しました。
註:脊椎動物とは、脊椎をもつ動物。魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の5類からなる。
無脊椎動物とは、脊椎動物以外の動物のことである。すなわち背骨、あるいは脊椎をもたない動物を指す。
私どもは多種類の脊椎動物の組織について免疫染色をしました。染まれば、HNF4α蛋白が存在することがわかります。
註:免疫染色とは、抗体を用いて、組織標本中の抗原を検出する組織学(組織化学)的手法のこと。正確には免疫組織化学(Immunohistochemistry;IHC)と言う。抗体の特異性を利用して組織を”染め”わけ、抗原の存在および局在を顕微鏡下で観察できるので、特定遺伝子の発現確認や、各種のいわゆるマーカータンパク質」を用いることで病理組織の診断にもよく使われている。
結果:
1. 脊髄動物の中で一番古いヤツメウナギを除く全ての脊椎動物がHNF4αのタンパクを持っていることが分かりました。
無脊椎動物ではHNF4α蛋白を検出できませんでした。
免疫染色の結果です(丸く茶色に染まった細胞核が陽性細胞です)
2.この 抗体が反応した理由として、殆どの脊椎動物のHNF4α蛋白はヒトHNF4α蛋白と比較して、アミノ酸配列が非常に似ている ことがあげられます。
3. なお、魚類からヒトまですべての脊髄動物の内臓組織構造は大変類似していました。例として腎臓の写真
この蛋白の構造からみても、人間は他の脊椎動物と深い関係のある仲間ですね!
SP: 研究内容の詳細を知りたい方やヘビ、コイなどの組織画像を観察したい方はぜひ第5教員室にお出で下さい。